クラス転移で仲間外れ?僕だけ◯◯◯!
110話 断擊
しかし、そこで手を緩めること無く連続で攻撃を続ける。
一回でも反撃を喰らうわけにはいかない。
最後に回し蹴りで蹴り飛ばし、相手の反撃を受けない距離をとる。
「ラズリ大丈夫か?」
「ムギムギ~。」
ラズリはまだ分裂した体を集合させてる途中だ。
やはり、逃げるという選択肢はない。
相手の方が圧倒的に強いこと、相手にも知能があることを念頭に入れて戦いを続ける。
謎の女の子の声で言ってた《力》とやらのお陰か敏捷値が上がっているように感じる。
そのためなんとか、ジェネラルオーガの反撃を交わしきれる。
体はオーガの血丸薬の影響で節々が痛むが、それでも攻撃を止めることは出来ない。
毒だけでなく、物理攻撃のダメージも追加されることでジェネラルオーガのHPが急速で減り始めた。もはやジェネラルオーガのHPは最大値の1/10しかない。
しかし、ジェネラルオーガもそれに対抗して今まで使ってなかった[咆哮]と思われるスキルを使用してくる。
咆哮の効果を[高位鑑定]で確認すると吠えることで相手のの動きを阻害する効果が有るようだ。
そして都合の悪いことに僕が丁度攻撃をしようとジェネラルオーガに近寄った時にその[咆哮]を喰らってしまった。
体が硬直して動かない!?
不味い!これは殺られる。と思った瞬間にジェネラルオーガの顔に何かが飛んで来る。
何かが飛んで来た方を見るとラズリが居た。
どうやら爆散した体の結合が完了して加勢してくれたらしい。
ジェネラルオーガは顔に付着してしまった何かを払いのけるように掻き毟っている。
恐らく、ラズリのスキルにある[酸液作成]によって作られた酸液を顔に飛ばしたんだろう。
いくらレベル差が有ろうと酸が目に入ったのだ。そう簡単に回復できるものではないだろう。
こんなチャンスは無いとばかりに渾身の溜めを作り一撃を放つ。
<[断擊]。>
[断擊]は拳で殴り付けるスキルで、発生する衝撃を線状に集中させることで相手を切り裂くスキルだ。
しかし、衝撃を線状に集中させるという性質上、スキルを発動させるのに時間を要するので使い所が少ないスキルだ。
だが、今のように相手がこちらを認識出来てなく、隙だらけな今にピッタリな技だ。
僕の放った[断擊]はジェネラルオーガの首に直撃してジェネラルオーガの首に大きな傷を付ける。
しかし、ジェネラルオーガはそれでも倒れること無く、周囲のものを手当たり次第攻撃しだした。
目が見えず暴れまわってるジェネラルオーガに最後のだめ押しとばかりに一撃を喰らわす。
「しぶといな![飛び蹴り]。」
ジェネラルオーガの首からボギィっという鈍い音が響いた。
そのあと2,3秒もがいたあと動かなくなった。
[高位鑑定]で確認してもジェネラルオーガの死体というアイテムになっている。
今までダンジョンで戦った魔物と違いアイテムドロップして死体が無くなるわけではないので、より生き物の命を奪ったってことを実感した。
だが、僕はこれからも様々な魔物と戦う事になるだろう。
そして、こいつよりも更に知性があって人間と同じような思考を持った魔物と戦うことも有るだろう。
今の戦いで思ったことと、命を奪って感じた気持ちそれぞれ忘れないでおくことが大切な気がする。
とはいえ時間もない。さっさと気持ちを切り替えよう。
「よし!勝った!お前らのお陰だ。」
そう言いながらラズリとニキスの方を見る。
ニキスはまだ遠くで気絶していたが、替わりにラズリがむきゅむきゅと返事をしてくれた。
【心優しき人よ。よくぞ勝てましたね。力を貸しておいてなんですが本当に勝ってしまうとは………………。それで一つお願いが有るのですが。】
!
再び戦闘前にも聞こえた謎の女の子の声が聞こえる。
ってか勝てると思ってないのに力を貸したのかよ。
「貴方が誰かは分かりませんが、貴方には助けてもらった恩がありますから、なるべく願いは聞きたいですが………………難しいものは無理ですよ。それに何より今は時間がありません。」
【時間に関しては問題ありません。あなた方の問題が一段落してからで構いません。本当に私に恩を感じてくださっているなら世界樹のたもとに来て下さい。私はそこで待っています。】
世界樹というのはよく分からんが取り敢えずめちゃくちゃな願いを頼まれる訳じゃなさそうだ。
「分かりました。ですが、世界樹というのは?」
【ここに居れば、そのうち分かります。では失礼します。】
その言葉を最後に謎の声は聴こえなくなってしまった。
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