クラス転移で仲間外れ?僕だけ◯◯◯!
117話 閑話シェシリー#6
[高位鑑定]を持っているということは、私のステータスを確認したことがある筈です。
つまり………………私の称号欄を見て、国王直属情報隠密部隊で有ることはバレていたってことですよね?
幾らなんでも一度も私のステータスを確認してないなんてことはあり得ない筈ですし。
「………一体何時からそのスキルを?」
 
何時からそのスキルを持っていたのか?と考えていたら声に出てしまった………。
美月様は頭に疑問符を浮かべながら答えてくれました。
「この世界に来たときからですが…………。」
!この世界に来たときから!
と言うことは初めてあった日に私のステータスを確認していてもおかしくありません。
「…………ということは、…………私のステータスもご覧になってたんですか?」
美月様は一瞬ビックリしたあと、少し考えるようなしぐさをしてから話し出した。
「まあ、そうですね。始めからリリアさんのステータスは知ってましたし、称号欄も見てました。」
やはり!
初めて会った段階で私の正体を知っていた!?
ならなんで………。
「っ!………………じゃあ、なんで私にあんなに優しく接してくれたんですか?………………私は美月様の敵だったんですよ?」
「…………失礼かもしれないですが、始めはただの打算でした。
[高位鑑定]でリリアさんの本当の仕事を知って、僕の信用を得ようとしてくることは想像出来ました。なので、僕から弟子にしてとお願いすれば承諾してもらえると思いました。
異世界に来て力のない僕が力を得るには丁度良いと思ったんです。」
なるほど確かそれはそうかもしれません。
私はあのとき勇者の仲間である美月様の願いを無下にはできないと思って弟子になることを了承したのですから。
「だから出会って間もない私に対していきなり弟子になりたいって言ってたのですね。」
胸がズキンと痛いです。
所詮美月様にとっては私は打算の存在だったのか?私を今助けているのも私という戦力に期待してでしかないのか?この方も他の人と同じ力でしか私を見てくれないのか?そう思うと胸が苦しいです。
ただ、それでも命を救われたことには変わらない。このことが終わったら美月様にご恩を返そう。
そんなことを考えながら、私が少しの落胆していると美月様が再び話続ける。
「はい。始めはそうでした。ですが、貴方の弟子になり指導を受けていくうちに、打算なく僕の事を大切にしてくれてることに気付いたんです。この世界に来て力がなくて、この世界の人間はおろか、クラスメイトにも馬鹿にされる中、リリアさんは力のない僕の為にアドバイスくれたり、全力で教えてくれたり、時には笑いあってくれたり、そんな貴方となら敵味方を越えて本当の仲間になれるんじゃないかと。………すいません仲間なんておこがましいですよね。」
………………嬉しいです。
そんな風に思っててくださったんですね。
敵味方を超えた仲間、それは私が欲しかった、力とは関係の無い仲間ということではないですか!
ですが、そんな嬉しい言葉を掛けられているのにそれと同時に嫌な気持ちを感じてしまいました。何故でしょう?
私が最も欲しかった真の仲間に美月様が成りたいと言ってくださってるのに…………。なのにその言葉に一番胸が痛みます。
ですが、その事は一旦置いておきましょう。それよりも私の本心を美月様に伝えたいです。
「私も…………です。私も美月様と本当の仲間になれたら良いなと思ってました。
…………前に私が冒険者をやっていたというのは言いましたよね。
[高位鑑定]を持っているならご存知とおもいますが、私は冒険者Sランクという位くらいでした。冒険者Sランク以上というのは一般的に人外と言われる程の強さがあります。ですが、その私ですら次元が違う存在に出会ってしまいました。
そこで私は諦めてしまったんです……………冒険者を続けることを。
私が全力で何をしても歯牙にかけないほどの強さが彼にはありました。彼に比べれば私の力なんてちっぽけなものでした。
酷いですよね私、美月様には弱いことを肯定し、努力をしなさいなんて言ったくせに逃げたんです。」
私は美月様が勇義様に破れて落ち込んでいた時に「頑張って」と言ったのに、肝心の私は自分が勝てない相手に逃げてしまってました。
しかし、美月様の頑張りを見て、これからは逃げたくないと思っているのも本心です。
「そして、力を捨てた私が振り返った時には、なにもありませんでした。
そこそこ話していたギルド仲間も、他の人も、力の無い私を必要としてなかったのです。そして、国を流れ歩きこの国でメイドをやることになってもそれは変わりませんでした。所詮力のある私しか必要とされてなかったのです。
ですが、美月様に出会って変わりました。美月様は力の無い私も大切にしてしてくれました。
美月様はたった数日で私が諦めていた力なんて関係ない…………真の仲間、その可能性を教えてくれました。
それで今、敵であった私の事を大切に思っていてくれたことを知れました。本当に………………嬉しいです。」
………………胸が痛かった。
私が自分の言葉で真の仲間と言おうとしたとき気付いてしまいました。
私が美月様に求めていたのは仲間等ではない。私は美月様に恋をしていたのだ。
真の仲間では足りないのです。私の本心は僕の愛する人と言って欲しかったのですから。
胸が痛いのは当然のことだったのです。
「じゃ、僕ら力の無い者同士仲良くやっていけますかね?」
この言葉に少しだけ胸が傷みます。
しかし、私は恋をしている。それを自覚して、気持ちを整理すれば、嫌な気持ちよりも、嬉しい気持ちがいっぱいです。
25才世間では生き遅れと言われる歳かもしれません。ですが、私はこの歳にして初恋を楽しんでいます。
この痛みも私の甘酸っぱい恋の一つです。
「きっと。………………でもこのままだと、その前に私が死んじゃいますね♪」
私の気持ちを伝えたら美月様はどんな反応をされるのでしょうか?
そう考えると頬が勝手に笑ってしまいます。
「そうだ!何か手だてを考えないと。」
真剣に方法を考えてくれている美月様を見ていると胸が踊りました。
美月様の行動一つ一つに私の心は揺れ動いてしまいます。
恋とはこんなに楽しいものなんですね。
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