クラス転移で仲間外れ?僕だけ◯◯◯!

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165話 謎のパーティー

森の中少し開けた岩場で叫び声が聞こえる。

「おいみんな!ブレス来るぞ!」

目の前には翼の生えたトカゲ。地に降り立った状態でブレスを溜めている。

「僕の後ろに隠れて。[盾強化][防具強化][踏ん張り]!」

私も彼の背に隠れてブレスから身を守る。

[防具強化]を使って皆の盾になってくれたのは、喜多良 一樹きたらかずき君だ。
彼の職業は[盾騎士グラディエーター]でそこそこ上位の職業、レベル36。
結構珍しい職業で300人~600人に1人の職業らしい。
身長は185cm位だけど、顔付きが優しいからあまり迫力にはかけている。
少し、ぼぉーっとしていることもあるけど、どんなに皆が焦っていても冷静に行動してくれるし、職業にぴったりの性格だと思う。
戦闘では相手の攻撃を受けて後衛を守ったり、敵の注意を引き相手の隙を作ったりしてくれる。

一樹君のお陰で私達はまともなダメージを受けることなくブレスを乗り切った。

「これってチャンス!?[瞬足しゅんそく]」

そう言って一目散にトカゲに向かって行ったのは嘉川 隼人かがわ はやと君だ。
彼の職業は[盗賊《シーフ》]でよくある一般的戦闘職業のひとつ。レベル37。
[盗賊]の人はわりと多く、30~50人に1人位はいるそうだ。
少しお調子者な所はあるけど、どんなときでも仲間の空気を明るくしてくれる。
少し空気が読めなくて、ウザいことがあるのが珠に傷なんだけど………。
戦闘では、素早さでの撹乱、手数の多い攻撃、技のレパートリーの多さ、あとは………簡単なトラップの感知・解除を得意とする。

「喰らえ![アサシンエッジ]!」

隼人君の一撃は見事にトカゲに当たったが鱗に弾かれてまともなダメージを与えれないみたいだ。
そのままトカゲの尾に弾かれてこっちまで跳ばされてきた。

「大丈夫!!隼人!?今すぐ治すよ![ハイヒール]!」

[ハイヒール]を唱えたのは、篠塚 供花しのつか きょうかちゃんだ。
供花ちゃんの職業は[魔女まじょ]でかなり上位の職業。レベルは38。
[魔女]は相当レアな職業で1都市に1人居るか居ないかというレベルらしい。
身長は女の子にしては高めの170cmで綺麗な顔立ち。
少し面食いなと頃があってクラスのリーダー格の勇義君にアタックしているらしい。
とはいえ八方美人な性格で男の子には大体優しいし、女の子に対してはわりと飾らないで接しているので人望も厚い。
クラスの中で彼女が中心の6人位の女子グループを作っている。
因みにクラス42人中女の子は22人、一番大きな女子グループが夏蓮を中心としたところで10人グループで、他の6人のうち三人は各グループの個人同士と仲が良いから特定のグループには関わらない娘、あとの三人は基本的に1人で行動する娘。私は勿論夏蓮の所。

てなわけで供花ちゃんはクラスで二番目に人望のある女子なのである。
戦闘面では、回復効果のある[聖魔法]、火力の高い魔法属性の[火魔法]、魔法防御に優れた[結界魔法]、特にこの[結界魔法]は基本7属性(火・水・土・風の四大基礎魔法+聖・闇・無)以外の魔法で、上位魔法属性と呼ばれるもので、魔法使いでも一部の人間しかたどり着けない境地みたい。
そして、[魔法儀式化]というスキルも持っていて、このスキルは贄や魔方陣などを使うことで低コストで高威力の魔法を使えるスキル。難点は準備に時間が掛かるから普通の冒険での使い道が少ないことだろうね。
難点も別に弱点ではないし、回復・魔法防御・魔法攻撃と戦闘において物理以外の全ての仕事をできる中々便りになる娘なのだ。
ただ、時たま戦闘中にも男子に向けて八方美人アピールが炸裂するので時と場所を選んでほしくはある。

「痛ててて……篠塚助かった。……にしても…あいつ固すぎ。何とか弱点を探さないとよっぽど高威力の攻撃じゃないとまともにダメージ通らないかもよ?」

「わ、私に任せてください!………[魔道具の極意][魔道具強化]」

オドオドしながらスキルを発動させたのは、由加 双音ゆか ふたねちゃん。
双音の職業は[獣装師じゅうそうし]で上位職業とされていて、レベル34.
[獣装師]はものすごくレアな職業で大国に1人居たら良い方というレベル。
だが、職業がレア過ぎて研究が進んでいないらしい。
[獣装師]のメインの力は魔物と本人がお互いに合意した際、魔物をその魔物の特性・強さに見合った魔道具に変えるスキル[魔物魔装化]。
そうして創られた魔道具は、時間経過・魔力枯渇・魔法解除により魔物に戻る。
特徴としては魔物を魔道具変えた場合の物の方が、一般的な魔道具よりも強力な物になる。
だが、多少効果は落ちるものの、一般的な魔道具を着けた戦闘職業の方が戦いに向いていることが多いのでいまいち人気には掛けるがそれでも万能性が高くそこそこ人気。
そもそも魔道具は値段が高くて一般人には手が出ないのが主な理由。

双音自身はとても人思いの良い娘。
身長は155cm位で少し小柄。
特定の仲がいい人のいない(女子グループに所属してない)女の子。
[ティム]を使って二匹の魔物をティムしていて、フォレストホークとハイドフォックスと言う魔物を飼っている。
フォレストホークの魔道具はメガネで、効果は[観察力強化(A)][魔力視(D)][遠視(C)]
ハイドフォックスの魔道具は耳飾りで、効果は[隠密(C)][嗅覚強化(D)][認識阻害(E)][消音(C)] 
括弧の中のローマ字はその効果の強さを表していてSSS~Eまであるみたい。
一つの魔道具にここまで沢山の効果があるものは殆どなく、あったとしても効果がE,Dの物ばかりらしい。
中でも[観察力強化(A)]の効果は凄まじく、相手の弱点を見破ったり、トラップを探知したり、僅かな痕跡から魔物を追跡したり出来るのだ。
そして、双音のスキルである[魔道具強化]。
これは魔道具の効果を一つだけ一時的に強化するもので、これによって[観察力]の効果がA→Sになったらその効果はさらに上がる。
因みに効果がS以上の物は国宝級の物らしい。
その他にもガイドミル王国から消臭の指輪を借りており、この効果の[消臭(B)]の力も合わせてもっている。

戦闘面では相手の弱点を探したり、周囲の地形を活用したり、トラップの探知、戦闘中に他の魔物が接近した際は速やかに探知して後退を宣言したりと非常に優秀。
一方、直接戦闘をするわけではないので、あまり役立ててないと本人は不安がっている。

「…………見つけました。あのトカゲ、ワイバーンはさっきから首の内側を庇いながら戦っています。………嗅覚はあまり良くないようだから、高威力の攻撃を喰らわせ隙を作って、内側に潜り込んで首を内側から直接攻撃すれば致命的なダメージを与えられると………思う。」

なるほど弱点が分かればこっちのものね。
ここから戦況を巻き返そう。

「ありがとう双音ちゃん。私が一発デカいの撃ち込むよ。」

そしてこの声は………

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