異世界スキルガチャラー
地龍鎮圧戦 3
「はい、団長、突然すみません。しかし、緊急事態なんです。危険度クラスS相当の生物がベリューダの街に進行した恐れがあります」
『何だと!?どういうことだ!?』
「団長、落ち着いてください。今、ゼーテが後を追っています。騎士団と軍隊の出動要請をお願いします」
『……了解した。後で説明はしっかりとしてもらうぞ』
「そこは必ず。僕もこれからベリューダに急行します」
『その前に、魔法研究棟の入口へ行ってくれ。例の少女の検査が終わった。彼女も力になれるだろう』
「……マリー・ソルレイクですか。分かりました、すぐに向かいます」
『ああ。私も騎士団員達を集めてから向かう。ゼーテ君の報告は君が受けてくれ』
「了解しました。では失礼します」
『武運を祈る』
レイザック団長に急いで連絡を入れたシーヴァは、そのまま飛行魔法でヴァーリュオン城の一角、「魔法研究棟」に降り立った。
魔法研究棟は、文字通り様々な魔法を研究、開発している魔法学者達が集まった施設である。
詳しい説明は今回は省くが、危険な魔法能力が無意識に発現する可能性がある人物や動物の検査も行っている。
数日前、リュートタウンから救出された少女「マリー・ソルレイク」も対象となっており、刺激しないようある程度の自由を与えながらひっそりと検査を行っていた。
その結果、敵意のない人間には害のある魔法が発動しない、という結果が出た。
しかし、保有する能力が非常に強力かつ珍しく、更に身寄りがいないため、騎士団で引き取ることになったのだ。
そして、保護人には今年成人となったナイトブライト兄妹が名乗りを上げたのである。
「到着。さて、お姫様はどこかな?」
研究棟の入口でその姿を探す。
すると、マリーを連れた黒スーツの初老の男性に声をかけられた。
「ああ、シーヴァ様。お早いお着きで」
「おや、バルドーさん。国王専属の執事様が少女につくとは、如何なさいました?」
「……ベリューダの街に向かった龍人の件で少々お話したく、この役を承りました」
「……何故、龍人とお分かりに?」
この男、バルドーはヴァーリュオン王城の執事長である。
「シーヴァ様、私は40年この国の王に仕えてきました。この城で起こる事象は全て私が把握できるよう、【監視者】の魔法を城中に張り巡らせて頂いております。おっと、無論皆様の私室には使っておりませんよ?」
「やれやれ、流石はヴァーリュオン最高峰の頭脳と呼ばれた魔道士ですね。未だその能力は健在ですか」
「いえいえ、貴方様たち双子騎士には足元にも及びません。さて、そんな事はさておきです。龍人を止める具体的な手立てはお持ちで?」
バルドーにそう問われ、シーヴァは即答できなかった。
それを見て、バルドーはまた微笑む。
「シーヴァ様、何事も事前の情報と分析、作戦はあった方が宜しいですよ?」
「しかし、実際に戦った時にもう………」
「「これ以上戦うとどちらか死にかねない」とお思いになられたんですね?」
「……ああ。僕やゼーテの力では、力が及ばないか、行き過ぎてしまうかだと思っている」
「はい。はっきり申しますと、そうなる可能性が90%です」
「………では、どうすればいい?」
「あと2人、事情を知りつつ戦いに参加出来る方々がいるでしょう。1人はこのマリー。彼女の能力は必ず役に立つでしょう」
「もう1人は………?」
「お分かりでしょう、異世界人だという彼です。今、馬車に乗って偶然にもベリューダへと疾走しています」
「……そうですか。よし、僕は今すぐベリューダに向かいます。バルドーさん、マリーをこっちに」
「はい。ご武運をお祈りしております」
マリーの背中を押してシーヴァの方へやりながら、バルドーは去っていった。
「やあ、可愛いお嬢さん。ちょっと手伝って欲しいんだ」
「あ、まっくろのお兄ちゃん。どうしたの?」
「まっくろ……まあいいか。実は、君とよく遊んでたお姉ちゃんが大変なんだ。助けるのを手伝ってくれるかい?」
「ルカおねえちゃんのこと?」
「そう。今、とっても困ってるんだよ」
「わかった!わたし、たすけにいく!」
「よし、いい返事だ。じゃあ、しっかり掴まっててくれ!」
そう言ってシーヴァは、お姫様抱っこでマリーの小さな体を抱えあげると、また飛行魔法を発動してベリューダの街へと向かった。
「わー!お兄ちゃん、トリさんになれるのー!?」
「ふふ、覚えたら君もなれるよ」
純粋に目をキラキラさせて驚くマリーに、シーヴァはほんの少しだけリラックス出来た。
一方、一足先にベリューダに到着したゼーテ。
「まずいわね……アレじゃ近付けない」
ベリューダ街の上空には、巨大な風の塊が浮いている。
超高密度の暴風で形成されたソレの中央、無風になっている場所に、ルカはいた。
「グルルルルル……………」
本能的故に強固な防御の中で、龍人は傷を癒す。
治し切ったあとに何をするかは、誰にも予想がつかない。
そこでいきなり、ゼーテに耳鳴りのようなノイズが走る。
「……っ! これは、通信魔法ね。ってことは、ケイトね!」
『ああ、俺だ!今、何が起きてる!?もうすぐヴァーリュオンに着くが、風の玉みたいなのが浮いてるぞ!?』
「ええ、その中にルカがいる!御者に「ベリューダの街」に全速力で飛ばすよう言って!私はルカを監視するわ!」
『了解した!すぐに行く!』
「……御者さん!ベリューダの街に行ってくれ!全速力で!」
「分かりました」
「ナビゲーター、こうなったらお前にも協力してもらうぞ!!!」
『わ、分かりましたよ。元に戻す方法探しますから、そんなに怒鳴らないで下さいよぉ……』
鬼気迫る表情の啓斗と、今にも泣きだしそうなナビゲーター。
ベリューダの街まで、あと数キロ。
『何だと!?どういうことだ!?』
「団長、落ち着いてください。今、ゼーテが後を追っています。騎士団と軍隊の出動要請をお願いします」
『……了解した。後で説明はしっかりとしてもらうぞ』
「そこは必ず。僕もこれからベリューダに急行します」
『その前に、魔法研究棟の入口へ行ってくれ。例の少女の検査が終わった。彼女も力になれるだろう』
「……マリー・ソルレイクですか。分かりました、すぐに向かいます」
『ああ。私も騎士団員達を集めてから向かう。ゼーテ君の報告は君が受けてくれ』
「了解しました。では失礼します」
『武運を祈る』
レイザック団長に急いで連絡を入れたシーヴァは、そのまま飛行魔法でヴァーリュオン城の一角、「魔法研究棟」に降り立った。
魔法研究棟は、文字通り様々な魔法を研究、開発している魔法学者達が集まった施設である。
詳しい説明は今回は省くが、危険な魔法能力が無意識に発現する可能性がある人物や動物の検査も行っている。
数日前、リュートタウンから救出された少女「マリー・ソルレイク」も対象となっており、刺激しないようある程度の自由を与えながらひっそりと検査を行っていた。
その結果、敵意のない人間には害のある魔法が発動しない、という結果が出た。
しかし、保有する能力が非常に強力かつ珍しく、更に身寄りがいないため、騎士団で引き取ることになったのだ。
そして、保護人には今年成人となったナイトブライト兄妹が名乗りを上げたのである。
「到着。さて、お姫様はどこかな?」
研究棟の入口でその姿を探す。
すると、マリーを連れた黒スーツの初老の男性に声をかけられた。
「ああ、シーヴァ様。お早いお着きで」
「おや、バルドーさん。国王専属の執事様が少女につくとは、如何なさいました?」
「……ベリューダの街に向かった龍人の件で少々お話したく、この役を承りました」
「……何故、龍人とお分かりに?」
この男、バルドーはヴァーリュオン王城の執事長である。
「シーヴァ様、私は40年この国の王に仕えてきました。この城で起こる事象は全て私が把握できるよう、【監視者】の魔法を城中に張り巡らせて頂いております。おっと、無論皆様の私室には使っておりませんよ?」
「やれやれ、流石はヴァーリュオン最高峰の頭脳と呼ばれた魔道士ですね。未だその能力は健在ですか」
「いえいえ、貴方様たち双子騎士には足元にも及びません。さて、そんな事はさておきです。龍人を止める具体的な手立てはお持ちで?」
バルドーにそう問われ、シーヴァは即答できなかった。
それを見て、バルドーはまた微笑む。
「シーヴァ様、何事も事前の情報と分析、作戦はあった方が宜しいですよ?」
「しかし、実際に戦った時にもう………」
「「これ以上戦うとどちらか死にかねない」とお思いになられたんですね?」
「……ああ。僕やゼーテの力では、力が及ばないか、行き過ぎてしまうかだと思っている」
「はい。はっきり申しますと、そうなる可能性が90%です」
「………では、どうすればいい?」
「あと2人、事情を知りつつ戦いに参加出来る方々がいるでしょう。1人はこのマリー。彼女の能力は必ず役に立つでしょう」
「もう1人は………?」
「お分かりでしょう、異世界人だという彼です。今、馬車に乗って偶然にもベリューダへと疾走しています」
「……そうですか。よし、僕は今すぐベリューダに向かいます。バルドーさん、マリーをこっちに」
「はい。ご武運をお祈りしております」
マリーの背中を押してシーヴァの方へやりながら、バルドーは去っていった。
「やあ、可愛いお嬢さん。ちょっと手伝って欲しいんだ」
「あ、まっくろのお兄ちゃん。どうしたの?」
「まっくろ……まあいいか。実は、君とよく遊んでたお姉ちゃんが大変なんだ。助けるのを手伝ってくれるかい?」
「ルカおねえちゃんのこと?」
「そう。今、とっても困ってるんだよ」
「わかった!わたし、たすけにいく!」
「よし、いい返事だ。じゃあ、しっかり掴まっててくれ!」
そう言ってシーヴァは、お姫様抱っこでマリーの小さな体を抱えあげると、また飛行魔法を発動してベリューダの街へと向かった。
「わー!お兄ちゃん、トリさんになれるのー!?」
「ふふ、覚えたら君もなれるよ」
純粋に目をキラキラさせて驚くマリーに、シーヴァはほんの少しだけリラックス出来た。
一方、一足先にベリューダに到着したゼーテ。
「まずいわね……アレじゃ近付けない」
ベリューダ街の上空には、巨大な風の塊が浮いている。
超高密度の暴風で形成されたソレの中央、無風になっている場所に、ルカはいた。
「グルルルルル……………」
本能的故に強固な防御の中で、龍人は傷を癒す。
治し切ったあとに何をするかは、誰にも予想がつかない。
そこでいきなり、ゼーテに耳鳴りのようなノイズが走る。
「……っ! これは、通信魔法ね。ってことは、ケイトね!」
『ああ、俺だ!今、何が起きてる!?もうすぐヴァーリュオンに着くが、風の玉みたいなのが浮いてるぞ!?』
「ええ、その中にルカがいる!御者に「ベリューダの街」に全速力で飛ばすよう言って!私はルカを監視するわ!」
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「……御者さん!ベリューダの街に行ってくれ!全速力で!」
「分かりました」
「ナビゲーター、こうなったらお前にも協力してもらうぞ!!!」
『わ、分かりましたよ。元に戻す方法探しますから、そんなに怒鳴らないで下さいよぉ……』
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ベリューダの街まで、あと数キロ。
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