異世界スキルガチャラー
地龍鎮圧戦 7
「邪魔だ! この雑草共ぉ!!」
まるで何かに取り憑かれたように性格が豹変した啓斗は、街を飲み込んだ大森林の中を猛進していた。
「吹き飛べ!」
「ゴオオォォ………」
啓斗は、両手にガントレットを装備し、更に火炎エンチャントを施している。
両者ともに、通常時の啓斗が使用していなかったものだ。
理由は、正体が掴めないモンスター相手に近接戦闘は効率が良くない、というものだった。
が、現在の彼は逆に直接攻撃で敵を薙ぎ倒す手法を主にしている。
SR【フレイムエンチャント】
装備している武器に、火炎属性を付与する。
魔法の武器には使用できず、実際に質量を有する物体にしか効果が無い。
「フン、俺の前に立つからこうなるんだ」
『えーと……啓斗様?』
「うるさい、さっさと先に進むぞ。残りMPは?」
『ああ、はいはい。えーっと、5950ですね』
「了解。接近までは必ずやり遂げる。作戦立ては任せてもいいか?」
『しょーがないですねー。今回だけですよ?』
ガントレットを装備した両拳をゴツゴツとぶつけ合い、気合を入れ直す。
ついでに首をゴキゴキと鳴らした。
「進軍再開だ。変わらず一直線で……行かせて貰う!」
『アイアイサー!(って、私まで乗せられてる!)』
次々と襲い来る植物や木製ゴーレムを時に焼き、時に殴り飛ばしながら啓斗は進撃を続ける。
状況は入れ替わり、こちらは既に地龍のすぐ近くまで接近している双子とマリーである。
「さて……情報の収集は終わったかな? ゼーテ、どう思う?」
『まあ、大体ね。取り敢えず整理しましょうか』
「ああ。まず、攻撃が広範囲のものが多い……というか、逆に単体相手のものがほぼ無い」
『それに持続型が大半ね。さっきの大森林化も然り、今も周囲に残ってる竜巻攻撃もかなりよ』
「防御力も尋常じゃないな。龍鱗の硬さがまた一段と上昇している。並大抵の攻撃じゃ1ダメージも与えられないだろうな」
『……やっぱり、合体技に頼るしかない?』
「おや、そっちから言うとはね。僕はいつでも行けるぞ。まあ、そっちが恥ずかしいって言うならまだ待っても………」
『だからうるっさーい!! 良いわ、やってやるわよ!ただし、ケイトが到着してからね!』
「分かったよ。まあ、合体技の詠唱中だとお嬢さんの護衛が居なくなるからね」
『そういうこと。それで、ルカはどうなってる?』
「ああ、それなんだが………」
ここで、現在のシーヴァの状態を説明しよう。
現在シーヴァは、マリーをお姫様抱っこで抱えたまま、有り得ない距離を有り得ないスピードで伸びてくる植物のツルから逃げ回っている。
勿論、飛行魔法は常時発動中だ。
「と、言うわけで僕は現在まともに戦えない!ケイト君が到着したら彼にこの子を預けてすぐに合流する!」
『はい、はい』
「あーもう、なんで私一人でこのヤバい状態のルカの足止めしなきゃなんないの!」
「遥かなる太陽の輝きが生み出せし数多の光槍よ!我が敵に聖なる鉄槌を!【シャイニング・レイ】!」
【シャイニング・レイ】
光属性の魔法巨槍を大量生成して放つ。
威力は相当高いが、習得も困難な魔法。
ゼーテが呪文を唱えると同時に、その頭上に大量の光の槍が作り出される。
ちなみに言うが、この魔法を使うにあたって、【シャイニング・レイ】と言う前の長い下りは一切必要ない。
ゼーテが放った【シャイニング・レイ】は地龍へと降り注ぎ、その龍鱗を貫通した。
「グオオオオォォ!!」
龍鱗を貫通され、皮膚に魔法ダメージを受ける地龍。
ようやく、まともに攻撃が入った。
「よし、行ける! このまま戦術級魔法で削ってダメージを………っ!?」
しかし、やはり人間の思い通りには事は運ばないものだ。
地龍は素早く首を動かすと、口を開けた頭をゼーテに向ける。
「ヤバッ……!!」
「ゴアッ!!」
空気を超圧縮した空気塊が地龍の口から音速で発射される。
回避する時間もなく、ゼーテは咄嗟に魔法防御を展開して受け止めた。
「あ……ぶなかっ……って!?」
一発目を防御できたからといって安心はできないようだ。
地龍は次々と風塊を作り出してはゼーテ目掛けて飛ばしてくる。
「こ……のぉ……!!」
ゼーテは防御魔法を発動しながら、再び【シャイニング・レイ】を作り出す。
「少しでも……少しでも……!!」
ゼーテはもう一度光の槍の大群で地龍を攻撃した。
槍は今回も地龍の鱗を貫き、その皮膚から血を吹き出させた。
更に、そのうち一発が口内に入った。
「ゴバアアァァァ!?」
「やった!」
体内に直接攻撃を喰らった地龍は、体勢を大きく崩した。
「よし、かなり近づいたな。邪魔者もかなりいたが」
『……容赦ないですねー』
啓斗は現在、地龍の全身がよく見える高台の屋根の上にいた。
彼の後方には、粉々に粉砕された木々、焼け焦げたり溶け落ちたりして原型を留めていない何かたちが散乱していた。
「うっ!?」
啓斗は頭を押さえ、発動していた魔法とスキルを解除すると目を閉じた。
数秒そうした後、ゆっくりと目を開けた。
「……なんだったんだ? さっきまでの……気分は?」
目を開けた啓斗の雰囲気は、いつもの冷静なものに戻っていた。
『よ、良かったー……啓斗様、元に戻ったんですね!』
「今まで感じたことがないくらい暴力的な気分だった。一体……」
『啓斗様、今はそれどころじゃありません!前見て、前!』
「………っ!」
ナビゲーターに言われて前を見ると、想像を絶する光景を目の当たりにした。
龍が、街を破壊しながら大暴れを始めている。
「これは……!」
『急ぎましょう!とにかく皆さんと合流しないと!』
元に戻った啓斗は、双子とマリーの姿を探しながらもう一度進行を開始した。
「やあ、お帰り。どうだった?」
「ダーメだ。全然思い出しやしねぇ」
「そう。じゃあ、またのんびり待つしかないよ」
「待てねぇよ。折角ここまで来たのに、また足踏みなんざまっぴらだ」
「落ち着いて落ち着いて。キミはいつも突貫で突っ走りすぎなんだよ」
「……わぁったよ。待ちゃいいんだろ」
「そう、待つんだ。大丈夫だから気長に待とう」
まるで何かに取り憑かれたように性格が豹変した啓斗は、街を飲み込んだ大森林の中を猛進していた。
「吹き飛べ!」
「ゴオオォォ………」
啓斗は、両手にガントレットを装備し、更に火炎エンチャントを施している。
両者ともに、通常時の啓斗が使用していなかったものだ。
理由は、正体が掴めないモンスター相手に近接戦闘は効率が良くない、というものだった。
が、現在の彼は逆に直接攻撃で敵を薙ぎ倒す手法を主にしている。
SR【フレイムエンチャント】
装備している武器に、火炎属性を付与する。
魔法の武器には使用できず、実際に質量を有する物体にしか効果が無い。
「フン、俺の前に立つからこうなるんだ」
『えーと……啓斗様?』
「うるさい、さっさと先に進むぞ。残りMPは?」
『ああ、はいはい。えーっと、5950ですね』
「了解。接近までは必ずやり遂げる。作戦立ては任せてもいいか?」
『しょーがないですねー。今回だけですよ?』
ガントレットを装備した両拳をゴツゴツとぶつけ合い、気合を入れ直す。
ついでに首をゴキゴキと鳴らした。
「進軍再開だ。変わらず一直線で……行かせて貰う!」
『アイアイサー!(って、私まで乗せられてる!)』
次々と襲い来る植物や木製ゴーレムを時に焼き、時に殴り飛ばしながら啓斗は進撃を続ける。
状況は入れ替わり、こちらは既に地龍のすぐ近くまで接近している双子とマリーである。
「さて……情報の収集は終わったかな? ゼーテ、どう思う?」
『まあ、大体ね。取り敢えず整理しましょうか』
「ああ。まず、攻撃が広範囲のものが多い……というか、逆に単体相手のものがほぼ無い」
『それに持続型が大半ね。さっきの大森林化も然り、今も周囲に残ってる竜巻攻撃もかなりよ』
「防御力も尋常じゃないな。龍鱗の硬さがまた一段と上昇している。並大抵の攻撃じゃ1ダメージも与えられないだろうな」
『……やっぱり、合体技に頼るしかない?』
「おや、そっちから言うとはね。僕はいつでも行けるぞ。まあ、そっちが恥ずかしいって言うならまだ待っても………」
『だからうるっさーい!! 良いわ、やってやるわよ!ただし、ケイトが到着してからね!』
「分かったよ。まあ、合体技の詠唱中だとお嬢さんの護衛が居なくなるからね」
『そういうこと。それで、ルカはどうなってる?』
「ああ、それなんだが………」
ここで、現在のシーヴァの状態を説明しよう。
現在シーヴァは、マリーをお姫様抱っこで抱えたまま、有り得ない距離を有り得ないスピードで伸びてくる植物のツルから逃げ回っている。
勿論、飛行魔法は常時発動中だ。
「と、言うわけで僕は現在まともに戦えない!ケイト君が到着したら彼にこの子を預けてすぐに合流する!」
『はい、はい』
「あーもう、なんで私一人でこのヤバい状態のルカの足止めしなきゃなんないの!」
「遥かなる太陽の輝きが生み出せし数多の光槍よ!我が敵に聖なる鉄槌を!【シャイニング・レイ】!」
【シャイニング・レイ】
光属性の魔法巨槍を大量生成して放つ。
威力は相当高いが、習得も困難な魔法。
ゼーテが呪文を唱えると同時に、その頭上に大量の光の槍が作り出される。
ちなみに言うが、この魔法を使うにあたって、【シャイニング・レイ】と言う前の長い下りは一切必要ない。
ゼーテが放った【シャイニング・レイ】は地龍へと降り注ぎ、その龍鱗を貫通した。
「グオオオオォォ!!」
龍鱗を貫通され、皮膚に魔法ダメージを受ける地龍。
ようやく、まともに攻撃が入った。
「よし、行ける! このまま戦術級魔法で削ってダメージを………っ!?」
しかし、やはり人間の思い通りには事は運ばないものだ。
地龍は素早く首を動かすと、口を開けた頭をゼーテに向ける。
「ヤバッ……!!」
「ゴアッ!!」
空気を超圧縮した空気塊が地龍の口から音速で発射される。
回避する時間もなく、ゼーテは咄嗟に魔法防御を展開して受け止めた。
「あ……ぶなかっ……って!?」
一発目を防御できたからといって安心はできないようだ。
地龍は次々と風塊を作り出してはゼーテ目掛けて飛ばしてくる。
「こ……のぉ……!!」
ゼーテは防御魔法を発動しながら、再び【シャイニング・レイ】を作り出す。
「少しでも……少しでも……!!」
ゼーテはもう一度光の槍の大群で地龍を攻撃した。
槍は今回も地龍の鱗を貫き、その皮膚から血を吹き出させた。
更に、そのうち一発が口内に入った。
「ゴバアアァァァ!?」
「やった!」
体内に直接攻撃を喰らった地龍は、体勢を大きく崩した。
「よし、かなり近づいたな。邪魔者もかなりいたが」
『……容赦ないですねー』
啓斗は現在、地龍の全身がよく見える高台の屋根の上にいた。
彼の後方には、粉々に粉砕された木々、焼け焦げたり溶け落ちたりして原型を留めていない何かたちが散乱していた。
「うっ!?」
啓斗は頭を押さえ、発動していた魔法とスキルを解除すると目を閉じた。
数秒そうした後、ゆっくりと目を開けた。
「……なんだったんだ? さっきまでの……気分は?」
目を開けた啓斗の雰囲気は、いつもの冷静なものに戻っていた。
『よ、良かったー……啓斗様、元に戻ったんですね!』
「今まで感じたことがないくらい暴力的な気分だった。一体……」
『啓斗様、今はそれどころじゃありません!前見て、前!』
「………っ!」
ナビゲーターに言われて前を見ると、想像を絶する光景を目の当たりにした。
龍が、街を破壊しながら大暴れを始めている。
「これは……!」
『急ぎましょう!とにかく皆さんと合流しないと!』
元に戻った啓斗は、双子とマリーの姿を探しながらもう一度進行を開始した。
「やあ、お帰り。どうだった?」
「ダーメだ。全然思い出しやしねぇ」
「そう。じゃあ、またのんびり待つしかないよ」
「待てねぇよ。折角ここまで来たのに、また足踏みなんざまっぴらだ」
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