26話 過去

　俺は、ある夢を見ていた。
　この世界に来る前の時の夢。




「はぁ、本当にあんたなんか産まなければよかった。」
　母がコソッと言っているのを俺は耳にした。
　もちろんあんたというのは俺のことだ。
　俺は、クラスメイトだけでなく親からも酷いことをされたり言われたりされた。
　父は、いつもパチンコや競馬三昧。
　母は、家事など一切することなく酒に酔っていた。
　俺は、兄弟もいないのでほとんど1人で過ごしていた。
　この家は、俺がバイトを何本も入れて何とか食い繋いでいる。
　そのバイトの疲労のせいもあって俺は、ある時手が滑って皿を割ってしまった。
　母は、俺の心配をすることなかった。それどころか、皿を割った俺に罰と言って父が昔使っていた木製バットで俺を何十発も殴ってきた。
「はぁ、スッキリした。ほら、あんた片付けときなさいよ。」
　母は、そう言ってまた酒を飲み始めた。
　俺は、痛みに耐えながら体中から流れた血や割ってしまった皿を片付けた。
　そして片付けている最中に家のドアが開いた。
「おいおいおいおい、何汚してんだよてめぇ！」
　父が、珍しく家に帰ってきた。
　が、帰ってきた瞬間に母と同じくバットで俺を殴りだした。
「はぁはぁ、っう！ゲホゲホ…」
「ちっ！汚ぇな。」
　父は、俺を殴ったあとまた家を出ていった。
　なぜ父は、家に帰ってきたのか。
　その答えは簡単だった。
　父は、パチンコや競馬で外れたとかいう理由で憂さ晴らしに俺を殴りに来たのだ。
　この家じゃ俺は所詮サンドバッグ代わりなのだ。
　そしてそれは学校でも………




「……さん！……らぎさん！……柊さん！！」
「……ん？あ、んー。」
「起きましたか、柊さん？」
「ああ、悪い寝てしまってたな。」
　俺は、鍛錬の後にいつも通りシェレールさんと話をしていたのだが、眠気に負けて寝てしまったようだ。
「あの、柊さん、大丈夫ですか？」
「ん？大丈夫って何が？」
「その、涙が出てますよ。」
「え！？嘘！」
　俺は、自分の目元を触ってみる。
　確かに涙が出ていたようだ。
　触れた手が涙で濡れていた。
「どうかされたのですか？寝ている時もうなされていたようですが？」
「ああ、ちょっと昔の時の夢を見てな。」
「昔の時の夢というとこの世界に来る前の話ですか？」
「ああ、そうだよ。」
　シェレールさんは、俺の昔の話をしている。
　正直なんでそんなこと話したのかは分からないけどなんかシェレールさんには話したくなったのだ。
「そう…ですか。だからあんなにうなされていたのですね。」
「ああ、悪かったな。」
「………」
「………」
　俺ら二人とも黙ってしまった。
「……あ、あの柊さん、少しいいですか？」
「ん？」
　シェレールさんは、向かいの席から身を乗り出して俺に近づいてきた。
　そして持っているハンカチで俺の涙を拭いてくれた。
「ああ、ありがとう。」
「柊さん、昔の辛いことを思い出したりまた夢で見たりしたら私に言ってください。私は、柊さんの悲しんでいる顔をあまり見たくありません。これは私のわがままですが、柊さんにはいつも笑っていてほしいのです。」
「シェレールさん………ありがとう、不安な思いさせたね。大丈夫！俺は、もう平気だから！」
　スキルの恐怖心耐性は、夢には効かないらしい。
　なら、そんな昔の夢を見なければいい。
　今を楽しく笑って過ごせれば昔のことなんか忘れられるはずだから。
「シェレールさん、ありがとうね。いつもいつも俺の心の支えになってくれて。俺、シェレールさんがいたからこの世界で今の自分までやれていけたと思う。本当にありがとう！」
「ひ、柊さん。私もあなたと居てとても楽しかったのですごい心の支えになりました！私からも感謝させてください、ありがとうございました。」
「ははは」
「ふふっ」
　面白くともなんともないのになんか笑えてきた。
「シェレールさん、これからもよろしくね。」
「はい！私こそよろしくお願いします！」
　俺とシェレールさんの仲は、このことで更に深まった。

---

　リクエストです！
　この作品で出した完全創造なのですが何か作って欲しい魔法やスキル、武器があればコメントしてみてください！
　もう既に魅了魔法、奴隷魔法が上げられていましたがそれも使わせて頂こうとおもいます。
　ぜひコメントしてください。
　コメントされたものについてはなるべく出そうと思います。
　それではコメント待ってます！！