クラス転移で俺だけずば抜けチート!?コミカライズ!

白狼

105話 頑張れ

 俺たちは今、貸切状態のビーチへ来ている。
「さて、俺もそろそろ海に入ろっかな。」
 俺は、みんなと集まったあと、トイレに行き、少し出遅れてしまった。
 みんな、すごい賑やかに楽しんでいる。
「あれ?」
 みんなが海で水を掛け合いっこしていると思ったのだが、シェレールだけ砂浜で待機している。
「シェレール、どうしたんだ?遊ばないのか?」
「あ、竜斗。戻って来たんですね。私、海水が苦手なんですよね。ですから海に入れなくて。」
「あ〜、そういうことか。なら、俺もここにいよっかな。」
 俺は、そう言ってシェレールの横に腰を下ろす。
「べ、別に私のことはいいですから、竜斗は遊んできてください。」
「俺がそんなことすると思うか?」
「……思いません。」
「だろ?俺は誰かが除け者みたいになってるのを見るのは嫌なんだよ。だから俺もここにいる。」
「ありがとうございます。」
「よし!別にビーチで遊ぶのは海だけじゃない!シェレール、俺らも遊ぶぞ。」
「何をするんですか?」
「まずは砂遊びだ!」
「砂遊び?」
 あれ?この世界じゃそんなものないのかな?
「この砂を使ってお城とかを作るんだ。どっちが上手く作れるか勝負だ!」
「え?この砂でお城なんか作れるんですか?」
「いや、そんな本物を作る流れじゃないから。小さいお城を作るんだよ。」
「あ、そういうことですか。分かりました。」
「それじゃ、勝負だ!」
「はい!」
 俺は、砂を集めまず土台を作る。
 そしてその上にどんどん砂を積んでいきまずは大きさを整える。
 その後に形を整える。
 ふふふ、シェレールには悪いがこの勝負は俺に勝たせてもらうぜ。なんせ俺は、幼稚園の時は一人でこうやって砂場でお城を作っていたからな。
 勝負を初めてから30分後。
「出来た!」
「出来ました!」
 俺たち二人は、同時に出来上がったようで声が重なった。
「よし、それじゃ見せ合いっこしてどっちが上手いか比べようぜ。」
「はい!」
 俺とシェレールは、お互いが作ったものを見る。
「ふふふ、どうだシェレール、俺の出来は?この勝負、俺の勝ち……だ……な……っ!う、うまっ!」
 俺の目の前にあった砂のお城はまるで本物かと思えるほどの出来だった。いや、本当にプロレベルなんですが?
「シェレール、本当に砂のお城を作ったのは初めてなのか?」
「はい。結構楽しいですね。で、どちらが勝ったのでしょうか!?」
 そ、それ、俺に聞く?
「俺の負けだよ。まさかシェレールがこんなに上手いなんて思ってなかった。」
「ふふっ、ありがとうございます。」
「勝てる自信あったんだけどなぁ〜。まぁいいか。こんなにすごいもの見れたし。よし!せっかく勝負したんだし、罰ゲームがないとな。」
「え!?罰ゲームですか?」
「ああ。そうだな……相手の言うことを一つだけなんでも聞く。これでどうだ?」
「相手の言うことをなんでも、ですか?」
「ああ、シェレールが何か一つ俺に命令するんだ。俺は、それをやらなくちゃいけない。シンプルだろ?」
「それはそうですが、竜斗にそんなこと……」
「なんでもいいから。ほら、俺になにかして欲しいこととかない?」
「して欲しいこと………あ」
「ん?なになに?」
「泳ぎ方……教えて欲しいです。」
「泳ぎ方?」
「はい、私が小さい時海に行ったことがありましてその時に海で溺れてしまって、それ以来泳ぐのが怖くなったんです。」
「そうか。だから海が苦手なんだな。」
「はい。」
「ん〜、そうだな。」
 もともと昔は海に来ていたんだよな。ってことは泳ぎ方は知っているんだ。今必要なのは海に対する恐怖心を消すこと。
「よし、それなら俺に任せてくれ!」
「ありがとうございます!」
 俺とシェレールは、海水の近くまで行った。
「シェレールは、海水がダメなのか?」
「まだ浅い所ならなんとか入れます。」
 シェレールは、そう言って恐る恐る海へと入っていく。
 そしてそのまま進むが海水が腰くらいの高さくらいまで来たところでシェレールの足が止まり同時に体が震えだした。
「大丈夫か、シェレール?」
「や、やっぱり少し怖いです。」
 そう言うシェレールの言葉は震えていた。
 う〜ん、俺のスキル恐怖心耐性をシェレールに譲渡すればこの恐怖心からは逃れられるのだろう。
 だが、それじゃシェレール自信が海への恐怖をなくせたわけじゃない。そんな卑怯な力を使っていいのは俺だけだ。弱虫な俺だけなんだ。
 だから、シェレールには
「頑張ろうぜ、シェレール。誰にだって怖いものはある。もちろん俺にもな。というより多分俺の方がシェレールよりいっぱいあるだろう。だけど、それをぶっ潰せた時の恐怖からの解放感、たまったものじゃないぜ。経験者が語るんだから間違いなしだ。」
 俺は、シェレールの震える肩を抑えながらそう言った。
 まずは怖いものに勝つという意志を持たせる。
 そして次は
「俺がいる。ちゃんと俺がお前を守ってやる。」
 誰かが一緒にいるという意識を持たせる。怖いものに孤独で戦っても意味が無い。頼れる仲間がいれば怖いものに立ち向かう勇気っていうものは数十倍にも膨れ上がる。
「竜斗……」
「まずは1歩だ。その1歩は、他人からみたらどうでもいいものかもしれない。だけどシェレール自身にとっては大きなかけがえのない1歩だ。」
 俺は、そう言ってシェレールの手を持つ。
「一緒に踏み出そうぜ、大きなかけがえのない1歩を。」
「っ!はい!」
 シェレールは、何かに決心がついたような顔で前を向く。
 俺は、シェレールの隣からシェレールが動くのを待つ。
「い、行きます。」
 そしてシェレールは、ゆっくり、ゆっくりと足を動かし始めた。俺もそれに続き足を動かす。
 そして
「着きました。……っ!着きましたよ!竜斗!」
「ああ、そうだな!よく頑張ったな!」
 シェレールは、年相応の笑顔を俺に向け喜ぶ。
「はい!やりました!あり……がとう……ござい……ました……」
「おっと、シェレール?」
「す、すいま……せん。ち、力が……抜けて……」
「いや、いいよ。よく頑張ったな。戻ろうか。」
「はい!」
 シェレールは、満足そうな顔をして俺の胸元で休んでいた。
 俺は、そんなシェレールを抱えて砂浜へ戻った。

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コメント

  • ミーウィ

    トイレでナニをしていたのかなー?

    0
  • ノベルバユーザー264858

    イチャイチャ最高ですね笑いいぞもっとやれ

    1
  • 豆腐

    クッ( ̄^ ̄゜)イチャつきやがって!( ºДº)キーッ
    あー羨まし

    1
  • ペンギン

    最後の方の竜斗のセリフの「いや、いいよ」から2人のセリフ混ざってません...?

    0
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