クラス転移で俺だけずば抜けチート!?コミカライズ!
135話 企み
俺は、斉藤がガイシス国王と話をしている部屋へと転移したはずなのだが……
(それは、あの部屋に防御結界が張られていましたのでそれで少し位置がズレたのです。)
ふむ、そういうことか。
「ちょっと位置がズレたらしいから直接行くぞ。」
「はい、そうですね!」
俺とシェレールは、透明化のスキルを使い走って斉藤たちの居る部屋へと向かった。
そして、俺たちはその部屋の前に着き俺がドアノブに手をかけようとすると
「っ!」
ドアノブを触る前に透明な壁に阻まれた。
「う〜ん、この結界、どうしたものか。」
(マスター、マスターの完全創造で結界完全破壊というスキルを作ってはどうでしょうか?)
そんな丁度いいスキルがあるんだな。
よし、やってみるか。
スキル 完全創造
作るのはスキル。
よしっ!出来た!
俺は、透明な壁に触れスキルを発動した。
スキル 結界完全破壊
スキルを使った瞬間、壁に触れている感覚がなくなった。
「よし、解けた。」
あっ、でも、俺たちがドアを開けて入ったら透明化のスキルを使っても絶対に何者かが入ってきたと思うだろう。
ど、どうしよう。
(マスター、ここは私におまかせを。結界が解ければ中の話も聞こえますので。)
おおっ、助かる!
「竜斗、行かないんですか?」
「ああ、今俺のスキルが中の話を聞いているところだ。」
「そんなスキルもあるんですね。」
どうだ、ナビ?というか2人は、結界が破られたことに気づいているのか?
(いえ、全く気づいていません。)
そうか。で、話はどんな内容なんだ?
(まだそこまで詳しい内容を聞き取れてませんが簡単に説明しますとガイシス王国で飼っている魔物を他の国へ放ちそれを斉藤が倒し他の国へ恩を売るという話をしていますね。)
はっ!?魔物を飼っている!?ど、どういうことだ?
(王国の外に魔物が閉じ込められている小屋みたいのがありそこで飼っているみたいです。)
マジか。シェレールは、その魔物のこと知ってるのか?
(いえ、シェレールさんは、そういうことは知らされてないみたいなので。)
そうか。でも、他の国に恩を売ってなんになるんだ?
(他の国から王国へ輸入している品物の物価を下げてもらったりその恩で他の国を脅して色々と怪しいことを企んでいます。)
そんなことを……
絶対に阻止してやる!
まずはその魔物がいるところに行ってみるか。
(ここで補足ですがマスターは、何度も魔物の大群にあったことがありますよね?)
ん?ああ、そうだな。……ってもしかして
(そうです。その大群はこのガイシス王国から出てきたそうです。)
マジか、もう始めていたのか。
それで勇者たちに活躍してもらおうとしたんだろうけど俺たちがほとんど倒してしまったということか?
(はい、ですので今回はマスターのような邪魔が入らないようにとても小さな村を狙うようです。)
………それって被害を出さないように考えてるのか?
(いえ、そんなことは全く考えてないようです。逆に被害が出て助けた方がその分恩が売れると考えているそうです。)
「………シェレール、王国の外へ行くぞ。」
「どうかしたんですか?」
「ああ、ちょっとな。」
俺は、シェレールの手を握りガイシス王国の外へと転移した。
「竜斗、どうしたんですか!?」
シェレールは、俺の様子がおかしいと感じたのか握っている手に力を込め俺を静止した。
「説明は後だ。」
「ダメです。今聞かせてください。」
「お前のお父さんと斉藤が他の街に魔物の大群を送ろうとしてるんだよ!」
「っ!?ど、どういうことですか!?魔物の大群!?」
「ああ、そうだよ!だから急ぐぞ!」
俺は、だいぶ苛立っていた。あいつらが送り込んでいた魔物の大群で何人もの冒険者が死んだところを俺は見た。
そして、その親がその死体の前で泣いているところを何度も見た。
それを見て俺は、どうしても自分が許せなかった。俺より弱い人を助けるのは力があるものの役目。それなのに俺は、助けることが出来なかった。そんな自分が許せなかった。
そして、その冒険者たちを殺した魔物を許せなかった。だが、魔物が冒険者を殺すことは自然的なことだと思っていたからそこまで気に病むことは無かった。魔物が冒険者を殺すように冒険者も魔物を殺すから。だが、それが人の手によってあの冒険者たちが死んだのだとしたら俺は許せない。許せるはずがない。
「………竜斗。」
「なんだ?」
「手が震えてますよ?」
「っ!?」
俺は、シェレールにそう言われ自分の手を見る。確かに震えていた。
だが、何故?
「な、なんで……」
「竜斗……竜斗は、自分で責任を負いすぎなんですよ。」
シェレールは、そう言って俺の震えている手を優しく握った。
「竜斗は、なんでも一人で責任を負ってしまいます。その責任が大きすぎて竜斗には荷が重くなってしまっています。そのせいで竜斗は自分がどう進んでいるのか分からないんです。そしてその進んでいる道が正しいのか自分では分からなくなってるんです。」
「お、俺は………そんなこと……ない……だって俺は、これから魔物を倒しに行くんだから!」
俺は、ちゃんと自分のやるべきことを分かっている!
だから……だから、シェレールの言っていることは的外れ……だ……
「竜斗の本当にしたいことってそれなんですか?魔物を倒して竜斗は何か嬉しいんですか?竜斗は何が満たされるんですか?」
「そ、それは……」
俺って何がしたいんだ?
分からない。
魔物の大群と戦った人たちのために魔物を殺すこと?
そんなことをしてどうするんだ?
分からない。
俺の手の震えが体全体に広がっていく。
「分からない。俺は、一体……」
俺が言葉に詰まるとシェレールは、今度は俺の腰に手を回し優しくぎゅっと抱いてくれた。
「分からないのなら私と一緒に考えましょ。そして、竜斗が背負っている責任も私に分けてください。だって、私たちは恋人同士なんですから!」
「っ!………」
目が熱くなるのが分かる。そして、1粒の涙が俺の頬を流れ地面に落ちるのが分かった。
俺は、一体いつからこんなに感情が表に出やすくなったんだろう。と言うよりもいつから俺は、こんなにも嬉しいとか悲しいとか悔しいとか辛いとか感じるようになったんだろうか。
いつからかは分からない。だけど、今の俺がこんな感情を抱けるようになったのは誰のおかげかは分かる。
もちろんそれはシェレールだ。いや、シェレールだけじゃない。この異世界で出会って仲間になったみんなだ。
そして、俺は分かっていた。自分のしたいこと。
それは過去のクラスのヤツらへの復讐とは違う。
俺のしたいことは
「シェレール、決まったよ、俺のしたいこと。」
「………聞いてもいいですか?」
シェレールは、嬉しそうにそう言った。
「俺のしたいことは………」
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コメント
久留米天狗
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