クラス転移で俺だけずば抜けチート!?コミカライズ!

白狼

157話 不機嫌

 シェレールは、思いっきりテーブルを叩いた。
 俺たちは、その音で騒がしかったこの空間も一瞬にして静かになった。
「シェ、シェレール……どうしたんだ?」
 俺は、恐る恐るそう尋ねた。
「っ!」
 うわぁ〜、めちゃくちゃ睨まれたわ。
 こりゃ完全にキレてんな。
 そしてシェレールは、口を開けとても冷たい声でメルーナに話しかけた。
「……メルーナさん……でしたよね?」
「………はぃ……」
 メルーナは、完全にシェレールに萎縮してしまっている。
「……あなた、少し竜斗にくっつき過ぎですよ?離れてください。」
「え?あ……」
「離れてください。」
 シェレールは、メルーナが何か言う前に離れろと威圧をかける。
 怖いよ、とても怖い。
「………」
 メルーナは、黙りながら離れていった。
「竜斗、私の隣へ。」
 シェレールは、そう言って自分の隣のところをポンポンと叩く。
 俺は、そこへ行くために立ち上がる。
「……ぁ……」
 するとメルーナは、すごく悲しそうな声をあげた。
「竜斗、早く。」
「………はい…」
 俺は、少しメルーナを気にしながらシェレールの隣の席へ行ってそこへ座った。
「メルーナさん……少し勘違いされているようですが竜斗にはちゃんと私という彼女がいるのですよ?」
「……え?そ、そうだったんですか?」
「………はい、そこは誤解なさらないように。と言うより竜斗も竜斗です!なんで彼女がいるって言ってメルーナさんの行動を止めなかったんですか!?」
「……あ…いやぁ〜………あはは〜」
「竜斗、私は怒っているんですよ?分かっていますよね?」
「……はぃ……」
 俺も完全に萎縮してしまった。
 だって今のシェレール、めちゃくちゃ怖いんだよ!?シェレールの背後から何か鬼のようなものが見えるような気がする。
「竜斗、私が言った約束覚えてますか?」
「……も、もちろん…」
「なら、それを言ってみてください。」
「えっと、一つ、シェレール以外の女性に秘密ごとをしない。もう一つは、シェレール以外の女性と接触行為は厳禁。」
「はい、その通りです。覚えていてくださりありがとうございます。ですが、竜斗その約束、破ってますよ?今、メルーナさんと実際に触れ合っていましたよね?」
「………す、すいません。」
「私は、謝罪が聞きたいのではありません。触れ合っていたかどうかを聞いているんです。はいか、いいえで応えてください。」
「………はい……」
「………あ、あの!リュウ様は悪くありません!悪いのは私です!リュウ様に彼女がいると知らずベタベタとくっついてしまったのは私ですから!だから、リュウ様には怒らないで欲しいです!」
 ああ、メルーナちゃんとても優しい!だけど、だけどね?今、君が喋っちゃうと……
「邪魔しないでください。」
 ほら、さらにシェレールがイライラしちゃうんだよ!
「私は、今竜斗と話しています!少し黙っていてください。」
「………それは出来ません!だってリュウ様が怒られる意味がないんですから!」
 おお!シェレールのこの圧に負けないでまださらに言うとは、メルーナって結構凄いんだな。
「シェルさんでしたよね。あなたがリュウ様の彼女とは知らずにベタベタしてしまって本当にすいませんでした。」
 メルーナは、土下座をシェレールに披露した。
 シェレールは、さすがに土下座までされるとは思ってなかったのか戸惑っていた。
「あ……え……はぁ〜ふぅ〜……あなたの謝罪はちゃんと受け取ります。」
「ほ、本当ですか!?ありがとうございます!」
「ですが私は、あなたが竜斗のことを好きになってしまうのは別にいいんです。」
「え?そ、そうなんですか?」
「私が許せないのは竜斗が私という彼女がいるとしっかりと言わなかったことです。それと私とした約束を破ってしまったことです。」
「うっ!そ、それはすいませんでした……」
 確かに悪いのはちゃんと断らなかった俺だ。
「はぁ〜、もういいですよ。すいません、私のせいで楽しい雰囲気を壊してしまって。早く食事を再開しましょ。せっかくの美味しいご飯が冷めたらもったいないですし。」
「あっ、ああ、そうだな。」
 どうやら、シェレールも落ち着いたらしく機嫌も良くなってきた。
「あっ!でも、竜斗の横は私だけですから!これだけは譲れません!」
 シェレールは、そう言って俺の腕をギュッと掴んだ。
 それからみんな、ホッとしたような表情をして食事を再開した。
 それから2時間ほど経った。
「今日は本当にありがとうございました。料理、とっても美味しかったです。」
「いえいえ、こちらこそありがとうございました!料理も喜んでもらえたなら良かったです。」
「リュウ様、シェレールさん、今日はすいませんでした。」
「別にもういいって。悪いの俺なんだから。」
「そうですよ、もういいです。さっ、早く帰りましょ!」
「本当にありがとうございました!」
 最後にメルーナは、お礼を言って深くお辞儀をした。
 そして帰宅後。
 俺は、風呂から上がりそろそろ寝ようと思って光魔法で明るくなっていた部屋を暗くしようとした瞬間。
 コンコンコン
 扉の方からノックの音が聞こえた。
「はぁ〜い。」
 俺は、扉を開け誰が来たのか確認した。
「シェレールか、どうかした?」
「い、いえ……あの、中に入ってもいいですか?」
「え?あ、ああ、いいよ。」
 俺は、シェレールを部屋の中に入れる。
「それで何か用か?」
「はい、大事な用事があってきました。」
「大事な用事……なんだ?」
 俺は、大事な用事と聞いて少し緊張する。
 シェレールは、黙って俯いたまま徐々にこっちに近づき……
「ん?どうしーーんっ!?」
 不意にキスをしてきた。
「わ、私が竜斗の彼女なんですから。」
 シェレールは、俺から唇を離すと唐突にそんなことを言ってきた。
 俺は、その言葉の意味をまだ理解することが出来なかった。
 そして時間が経つにつれ徐々にその言葉の意味を理解した。
「シェレール……」
「………」
 シェレールは、顔を俯かせたまま黙っている。
 どうやら、俺からしてほしいようだ。
「シェレール、ベットに行こ?」
「………」
 シェレールは、黙ったままコクリと首を頷けた。
「………竜斗、ギュッてしてください。」
 俺は、頼まれた通りシェレールの背中に手を回しギュッと抱きしめた。
 それからシェレールは、何も言わないがずっと俺の胸に頬を擦り付けている。
 今日も甘えモードだな。それも随分と甘えたいらしい。
 まぁ、今日あんなことがあったから仕方ないな。
 念の為、防音用の結界を。
 よし、これで大丈夫。
 その夜、俺はシェレールと……まぁ色々したわけだ。察してくれ。

コメント

  • ある0430

    こんな重い彼女はいらんわ~~!

    0
  • ノベルバユーザー264858

    仲直りしてイチャイチャか悪くない笑

    7
コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品