俺は5人の勇者の産みの親!!
第13話 エッチをしたがる理由
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「びぃえええええ! びぃえええええ!」
「もうっ! 本当にうるさい! もうそろそろ泣き止みなさいよ! みっともない!」
「だっでぇ! 私、もう子供じゃないもん! びぃえええええ!」
騒がしい通学路。
初めて通る道を確認しながら突き進む俺は、真横に並ぶ美少女たちを見て微笑む。
あまり口出しすんのはやめよ、起爆剤になりそうな予感しかしないからな。
「ねぇ、リュート。この子、テルって言うんだけど、流石にどういう状況かは理解できてるわよね?」
カノンは俺の顔を覗き込む。
胸の谷間がちらりと見えると、俺は顔をぽりぽり掻きながら上を向く。
「……カノンと同じ目的だろ? 俺と……その。子供を作りに来たんだろ?」
「そうよ。あと、この前ストーカーしてたアリアって子もそう。みんなあなた狙いで私と同じ次元から来てるのよ」
テルが泣き止まないのであまり詳しくは聞こえないが、なんとなく状況は飲み込めている。
要約しよう。
俺の名はリュート。
向こう側の世界の俺は、女と出会ってはセックスをして種を残していった。
そのうち、産まれた5人の子供は、それぞれ磁石のように引き寄せあって、パーティを組んで魔王を討伐した。
それまではおそらくだが物語とかではよくある話だ。
ここからが本題だ。
その圧倒的な力を持つのに必要なのは、俺の分身が残した種、要は性液だ。
俺の分身が産ませた子供全員が最強の戦士として魔王を討伐したのだから、別の次元の俺でも同じことが言える、そう考えた東西南北の国王が、同時期にこの次元に次期王女の彼女たちを送り込んで来た……。
パラレルワールドってやつだよな?
あるべき理の書き換え。
国王は何が欲しかったか。
権力……というと一番簡単だろうな。
伝説の勇者が息子になれば、そりゃ国王も鼻が高かろうし、別の国からしてみれば頭が上がらなくなる。
それを狙って国王たちは無理やり子供を作って元の次元に帰って来いと言っているのだ。
子供の定員は5人。
その椅子に自分の子を座らせるがために、みんな俺とセックスしたがっているし、独り占めしたがっている。
他の国が俺と子供を作る事は何よりもあってはならない事だからだ。
そして、たまたま西の王女・カノンがみんなが集まる大広場のど真ん中で告白をした。
まるで見せしめのように。
こうすれば、周りの王女はカノンがライバルであることを悟ると同時に、相手が次の一手を出しづらくしたということか。
なんとも、馬鹿馬鹿しい戦略だ。
が、面白い。
その戦略が功を奏して、今の状況がある。
社会は、誰もが俺とカノンが付き合っていると錯覚しているし、他の王女はそれを奪おうとするならば悪目立ちして、返って分が悪くなる。
よく考えられてる。
そして、カノンは家に隠れられればいつでも俺とセックスができるってわけだ。
どんな時も真近くにいたのは、他の王女に横取りされないため。
急に居なくなるのは、父親と通信でもしてたのだろうか。
とりあえず、今の状況で、俺が一番悲しいことが一つだけある。
……カノンは、全く俺に気がないこと。
それだけが、今の俺の心に風穴を開けている。
やっぱり、男ってバカだよな。
でも、なんで俺の次元に全員飛んで来たんだろうか?
全員の王女がここに来る必要なんてなかろうに。
「なぁ、カノン。そういえば、なんでここの次元に来たんだ? 他にもたくさん次元があるんだろう?」
リ俺はなんとなく聞いてみる。
淡々と口を開く俺だが、一方のカノンは口を閉ざす。
広角が下がる。
なんだ、やばいことでも言ったか?
「な、なんだよ。あんまり言えないのか?」
「……。言っていいの?」
「は? なんだよ。言えよ」
カノンはもうすでに遅刻してしまったのを時計で確認する。
彼女はうんと背伸びをすると、綺麗かヘソが出る。
少しだけ割れかかった腹筋に俺は魅了されると、その宝石の輝きはすぐに服という万物に隠される。
この日、俺は人類が服を着る文化を恨んだね。
「次の授業は三時間後よね? リュート、テル、あなたも一緒に来て」
「……なによ、私は一時間後に授業があるんだけど……ヒック。うぅ……」
「ダメ。諦めなさい、テル。私たちは授業を受けるためにここに来たわけじゃないのよ?」
急に真面目そうになる。
いつもなら頭でも叩いてリアクションしたりとか突っ込んだりとかするはずなのに。
緊張感のある王女の対応。
まるで、村人を避難させる騎士の様なそぶり。
なにかが起きているのは間違いない。
...なにかを隠してる。
そのことを隠していたのは、俺の安全が確保されなくなるからなのか?
「……近くにカフェがあるわ。そこにしましょう」
「……おう」
なんだろう、すごく嫌な予感がする。
俺は背中をボリボリと掻き毟る。
今日はすごく胸のあたりが痒い。
そういえば、病院ってどこだっけ?
そろそろ定期検診に行かなきゃいけない頃だったな。
つづく。
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