いじめられてた俺が異世界に転移したら神になった〜チート能力で無双〜

guju

決別

「中木、すまんが俺は降りる」
「なっ!? 」

心底驚いたのだろう、口と目を大きく開いている。なんともわかりやすい人間なのだろうか。

それに、ほかのクラスメイトも同じらしい。有り得ないと言いたげな表情をしている。

「何故……君は降りるのかい? 神谷くん」
「決まっている。得体の知れない敵に立ち向かうなんて危険を犯したくないからだ」
「でも、俺達には力がある! それに……」
「それになんだ? 」
「君は……困っている人を見捨てるような人間なのか? 」

中木は悲しそうな目をする。
憐れみか? 軽蔑か? それとも見下しているのか?

そんな中木に同意する声は後を絶たない。
皆が立ちあがり、そうだそうだと便乗を繰り返して、反乱分子の俺を責めたてる。

見事なまでな洗脳っぷりだ。
普段、人助けなんて無縁のような奴らが、餌を見つけたハイエナの如く俺の事を罵倒し始める。
挙句、その中には陽向もいる始末。

くだらない。こんな奴らに少しでも情けをかけて、幾人かの目を覚まさせてやろうなんて考えた俺が馬鹿だった。

ソウは、深く大きなため息をひとつ着く。

「本当に救いようがない馬鹿共だ」

「………………」

俺のその一言で辺りは静まりかえった。
だが、そんな沈黙を無視して俺は続ける。


 「何が人助けだ? お前達は自分の状況すら理解出来ていないようだな」
「出来ているさ! 俺達は、この世界を救う力がある! だから、だから助ける! 」
「本当に馬鹿だな」

「おい神谷……貴様調子に乗るなよ? 」

中木の隣に控えていた古谷が声を上げる。
こいつは、中木の取り巻きで多方面にいい顔をする八方美人。
ただ、影では俺の事を虐めていた主犯のような奴だ。

「煩い、クラスの犬は黙ってろ 」
「てめぇ……クソがァ! 」

吠える犬を無視して、俺は話し始める。

「いいか、お前らの今の状況を教えてやるからよく聞け」

ソウは、ゆっくりと歩きながら話す。

「異世界に飛ばされるなんて異例の出来事に浮かれ、力があるからと持ち上げられ、いい気になって気分が良くなって、本当に強いのかどうかもわからないその力に慢心し、戦隊ヒーロー気取りで悪を倒す自分を想像して、酔いしれて、自分の身の安全すら確保出来ていない分際で一丁前に人助けなんてほざいている。これが今のお前らだ、このクソ馬鹿共がぁぁ! 」

いつの間にか中木の隣まで来ていたソウは、クラスの皆に指を刺し、お前らだと示す。
さっきの罵倒の声が嘘のように静まり返り、何も言い返せないクラスメイト達は自分の拳を握り締めている。

それは、中木も同様だ。

そんな中ソウはだが、と話を続ける。

「俺には知ったことじゃあない。勝手に浮かれて、国の犬になって、騙され続けて、実在するかどうかもわからない魔王を追いかけて、見つけたあかつきにはコケにされ、虫けら同然のようにひとひねりで死ねばいい! 俺はそんなのは御免だからこの王宮からさっさと出ていかせてもらう」

そう言い終わると、浮かべていた薄ら笑いが消えている国王の横を通りその場をあとにする。

それから暫く、誰一人言葉を発せずにその場で座り込んでしまった。

コメント

  • ノベルバユーザー332229

    うーん、いじめられている人がこんなこと言うか?あとふざけるを巫山戯るにすると読みにくいのでやめてほしいw

    8
  • ネコネコ(ФωФ)

    主人公カッコいいな!(笑)

    6
  • ノベルバユーザー311959

    テトさんが好評する作品だからすごく人気になって行くに違いない!
    更新待ってます!
    頑張ってください!

    10
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