センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

83話 ズラっと並べられたチートと『オマケ』

 83話 ズラっと並べられたチートと『オマケ』




 しばらくメソメソしていたシグレだったが、


「もうええわ……同級生にバレたとかやったら、首をくくるしかないけど……どうせ、相手は神様やし……」




 ふっきれた顔で、センの目を見て、




「それより、さっきの、神様の反応から察するに、あたしってマジで最大値だしたん?」 




「ぇ……ぁ、ああ……ん~……ああ、うん、そうだな」




 ハッキリ言えば違うのだが、説明するのが面倒くさかったので、
 センは、シグレの言葉をテキトーに肯定した。




「おぉ、やっばぁ。なぁ、すごない? 確率で言うたら、18兆分の1とかやろ? ほんま、あたし、すごない? 今、あたし、自分で自分に引いてる!」


 はしゃいでいるシグレを横目に、センは、


(こいつの異常性はどうかしている……俺を見通す目、第一アルファ人でありながら異常に低いステータス……そして、Dアイデンティティに干渉した『何か』……)


 考えてみる。
 この女の正体。
 いったい、何者なのか。


(……ちっ。際立っているのは異常性ばかりで、解読するヒントは何もねぇ……ウッゼェなぁ。……そもそも、俺は、こういう謎解きが好きじゃねぇんだよ……)


 センは、苦い顔で舌を打ち、


(ヒントはないが、カギはある……この女の存在自体がカギ。……ナメられたままで終わるつもりはねぇ。俺にケンカを売ってきたんだ。きっちりとツケを払わせてやる。そのためにも……こいつは泳がせておく必要があるな)


 決断すると、


「シグレ。左手を出せ」


「ぇ……ぅん、はい」


 少しだけ逡巡したあと、しかし素直に差し出してきた左手に、センは己の右手をかざして、


「恩恵、ランク1000……《魔解体》レンタルギフト」


 シグレの手がパアっと淡く光った。
 直後、全ての指にサイズピッタリの指輪がハマっていた。
 どれも、宝石などはついていない、リングだけの簡素なタイプ。


「20ミリオンスライムと、スリーピース・カースソルジャーと、ウイング・ケルベロスゼロ(EW)の召喚が出来るようになる指輪。そして、浄化・武装魔化(ただの服や武器に魔法効果を付与できる)・言語取得・アイテムボックスなどの便利魔法が使えるようになる指輪。――最後のもうひとつは、オマケだ。レベル20になったら使えるようにしてある」


「おぉ! 気前ええなぁ。で、どんなオマケなん?」


「秘密だ。自分で確かめろ」


「焦らすなぁ。まあ、ええわ。レベル20とか、すぐに行ける感じの数字やし」


「あとはカネ、この世界の金貨98枚」


 『ラムドが所持していた金貨』の全てをそのまま渡すと、


「これ聞きたかったんやけど、この中途半端な数字なんなん? あと、借金の場合は一万枚やのに、もらえるんは98枚ってどういう事?」


「お前にやった指輪は、どれも、金貨一万なんて次元じゃない価値がある。正確に言えば、『七つ』ほど国が買える。98って数字は、単に手持ちがそれしかなかったからだ。他意はない」


「常時ポケットに百万円をしのばせとる神様……スゴいんかスゴくないんか、イマイチよぉ分からんな」


「それと、こいつだ。第三の眼鏡」


「これも、ほんまは質問したかってん。これ、どういうメガネ?」


 受け取ったのは、シャープなスクエア型のメガネ。
 セルフレームのナイロールで非常に軽い。


「サードアイというスキルが使えるようになる魔道具だ。簡単に言えばアナログなスカウターだな」


「なるほど。数値で見えるわけやないけど、相手の強さとかが分かるってことやね。もしかして、これだけでも結構なチート?」


「サードアイを使えるヤツの割合は、日本における国立大卒と同じくらいだと考えると理解がしやすい」


「頑張らな使えんけど、使えるヤツは結構おるってこと?」


「そうだな。そして、もちろん、東大理Ⅲとそれ以外では大きな差があるように、同じサードアイでも、練度によって性能が大きく異なる。お前にやった第三の眼鏡は、俺が今、この場で創った。即席とはいえ、この俺作の魔道具。当然、最高クラスの練度で使えるようにしてある」


「おぉ。つまり、今のあたしは、東大理Ⅲ卒の看板を背負ったみたいなもんなんやな? きた。メインエリートきた。これで勝つる」


「もちろん、その精度の魔道具にしてやったのは最高値を出したからだ。流石に、102なんか出る訳がないと思ったから、最高値のギフト設定は色々とハメを外しちまった。……不可解な点はあるが、ルールはルールだ。最初に決めた報酬をそのままくれてやる」


「不可解?」


「気にするな。こっちの話だ」


「ふーん、まあええけど」


「ついでに忠告しておいてやる。サードアイを信用しすぎるな。存在値……レベルの高いヤツは、大概、サードアイを騙すためのスキル、フェイクオーラってのが使える。第三の眼鏡なら、この世界に存在する『大概のヤツ』のフェイクオーラを見通せるが、幾人か、サードアイでは見通せないヤツもいる」


「フェイクオーラかぁ……それが使えるようになるアイテムはもらえんの?」


「お前にくれてやったモノには、金貨以外すべて、神でなければ見通せないフェイクオーラがかけられている。自分自身の力は、自分で訓練して隠せ」


「まあ、なんもかんも負んぶに抱っこって訳にもいかんわな」


 そこで、シグレは、第三の眼鏡を装着し、自分のモノになった指輪を眺めながら、


「……ふふ」


 と、笑みをこぼす。


「夢みたいや……異世界にこられて……チートもゲット……こっから、あたしの物語が、はじまるんやな」











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