センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
11話 アダム登場
「ところで、今回の招集状が届いたのは、ボクたち三至の元だけですか?」
平熱マンの発言に、ゾメガが答える。
「今日のところは、そのようじゃのう。今後、『朝日』以外の五聖命王も全員揃って何やら盛大な祭りとなる予定とは聞いておるが」
魂の系譜に連なっている者『五名』で結成されている、ゼノリカ天上の上から二番目の組織『五聖命王』。
五名全員が超天才のサイバーアルファ人(センから名前をもらった)という、圧倒的な力を持つ天帝。
その序列一位が『閃朝日』なのだが、
「なんで、朝日は呼ばれていないの?」
「なんじゃ、ミシャ、知らんのか? 今、あやつは、第1ベータをアルファに格上げするために奮闘している最中なのじゃよ」
「……へぇ、ベータがアルファに上がる事とかあるんだ、知らなかったわ」
「偉大なる師の系譜に連なる者に『ベータの天帝』が混じっているというのはいかがなものか……という事で、かなりの無茶が通ったということじゃが、まあ、詳しい事は分からん。神々の決まりやルールなど、知った事ではない」
世界の格というのは、ゼノリカのルールのように、ガチガチに決まっている絶対的な『神の管轄内事』なので、それを変えるとなると、本当に、地獄のように面倒くさい(その手続きの鬱陶しさは破格! 憲法改正なんか目じゃねぇぜっ)。
『世界』というのは、『箱』を創るだけなら、ある一定以上の力を持っていると、それなりに簡単にできる(センなら数日で一個。ほかの究極超神だと、数か月で一個といったところ。超神でも、数年かければ、ベータ一つくらいなら創れる。まれに、超神でも、アルファを創れる事もある)。
『世界』は、『小説家になろう』に投稿された小説を例にすると少し分かりやすい。
サイケルを潰すためにセンが創りだしたアルファは、さしずめ、『投稿した直後に削除したため、誰も読んではないが、かなりの大傑作』で――書きためていた大量の作品を、一気にぶつけたって感じ(あくまでも例え)。
第2~第9アルファは、『数億以上のPV数を誇るランキングトップテン入りの大傑作』。
世界というものは、『箱だけ』ではさほど価値はなく、神(読者や作者、あるいは編集者)の管轄下に置かれ、『良質な魂魄の循環(面白いという評価)』が成る事で、正式な『格』が認められる。
あくまでも例なので、そのままではないが、『世界』の『イメージ』はそんなところ。
「朝日の事はもういいわ。それより、今回の招集について、私、よく分かっていないのだけれど、誰かちゃんと聞いている人いる?」
「詳しい事は後で話すからとにかく来るように……としか言われておらんのう」
「ボクも同じですね。それぞれの下にいる九華を二人ずつ連れて、この時間までに集合としか聞かされていません」
ちなみに、『二人』というのに意味や理由がある訳ではない。
ただ単に、『パシリの天下』に色々と命令させたいから、『パシリのまとめ役である九華』も何人か連れてきて欲しかっただけ。
本当なら、『自分でパパっと命令したい』のだが、ゼノリカには『主の声を聞けるのは天上に属する者の上位だけ』という謎ルールがあるため、それは叶わない。
平熱マンが勝手に決めて、満場一致で可決された、神を崇め奉る系の無数のルール。
最初は、センも『はは、なんか、俺の黒幕感、パねー』と面白がって乗っていたが、後々だんだん面倒くさくなって、『やめない?』と言ってみようかなと思ったこともあったが、その時には、すでに、組織の規模やルールが、ギチギチに固まっていて、とても言いだせる空気ではなかった。
――そして、ついには、『九華ごときでは、神にお会いする事すら難しい』という、わけのわからん状況にまで『堕ちて』しまったのだ。
(どんどんめんどくさっていく……俺の組織だって話なのに、俺、全然、自由じゃない……だるぅ……でも、俺も一回、乗っちゃった手前、もう、言い出せねぇし……だるぅ)
それが、センの本音だが、しかし、誰も、『センが実はそう思っている』とは思っていない。
なんだかんだ言いながら、センは空気が読める男なので、皆の前では、最低限以上に、彼らが望む『神』らしく、ふるまってきたからだ。
「師の事じゃから、何か、深い考えがあるのじゃろうが……はてさて」
ゾメガが、ボソっとそう呟いた――その時、空間が歪んだ。
バチバチっと音をたてて電流が走る。
そして、歪んだ空間の向こうから、三人の女が現れた。
一人は、ミニスカ浴衣を着た、凄まじく強い女。
一人は、チャイナ服を着た、異質な強さを有する女。
一人は、八歳くらいの、なんだかよくわからないが、
何やら深みのあるオーラを放っている少女。
ゴリゴリの圧倒的強者オーラを纏っているミニスカ浴衣の超絶美女――『アダム』が、
ゾメガ・平・ミシャの顔を一秒ずつ見てから口を開いた。
「そこのと、そこのと、そこの……貴様ら三名……この上なく尊い御方の系譜に連なる者達で間違いないか?」
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