センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

27話 さすが、神様は格が違った

 27話




 ――ちなみに、どうして悪を目指すのか。
 その本当の理由は、至極単純。


 『中学時の俺なら、普通に、その方が燃えると思うんだよねぇ』


 それだけ。


 『勧善懲悪ってアレだよねぇ』などと高二的な事を言いながら、
 結局、『かっこよく、分かりやすい悪を倒す本物のヒーロー』に憧れる。










 正義を騙る気はない。
 脳内お花畑に『愛』を叫びながら世界平和を謳うつもりは毛頭ない。


 しかし、
 『悪を滅するヒーロー』には焦がれる。


 純粋な感情。
 スレていながら、ピュアさを残す。
 高潔と言い切るにはあまりにも拙すぎるイノセンス。


 それが、センエースという男。
 かつてのセンエースもそうだった。




 巨悪を前にするほど、芯が燃えて、目の前にある限界を超えていった。
 どこかひねていながら、しかし、性根の芯は、確かに英雄だった。
 理想の英雄を貫いたからこそ辿り着いた世界が確かにあった。




 ――だからこそ、センは、『ゼンを鍛える装置』としてのゼノリカを悪に設定しようと決めた。


 ヒーローの敵となる、完璧な悪。
 他の悪すら許さない、異常なほど傲慢で超独悪的な、真に悪の中の悪、その大組織。
 カリスマ性と重厚感のある、
 明確なラスボス性を有した、
 全ての悪を飲み込むほどの巨悪。




 目の前の悪が大きければ大きいほど、閃壱番(究極の可能性)は強く眩しく輝く。




 『そういうアレ的な感じなら、ガキの頃の俺とか、超がんばるっしょ。いえー』




 ぶっちゃけ、それだけが理由。


 『己が欲望』のためだけに、世界を守るシステムを私的に利用しようとしている。
 ――それが、それだけが事実。
 上に立つ者がする事ではない。
 もはや、乱心と言ってもいい。










 だが、今日も、センエースの評価はグングン上昇する。
 ――世界のために、より遠き果てまで見据えた計画を御立てになられたのですね。
 なんと、素晴らしい。


 ……これが、この先、延々に続いていく『さす神(流石、神様は格が違った)』のはじまりだったとさ。
















「――先生。少しお聞きしたい事が――」




 途中、ふいに、ジャミが、御茶を飲んでいたパメラノに声をかけた。


 声をかけられたパメラノは、少しだけ渋い顔をして、


「先生はやめよと言うておるのに……現状の立場は、ぬしの方が明確に上なんじゃぞ。上の者が下のものにへりくだっては、他の者へのしめしがつかんじゃろう。ゼノリカという組織は、ごっこ遊びではないのじゃぞ?」


 とはいえ、ジャミに敬語を使うのもまた違う話。
 『そこ』は、人間関係の領域。
 全てはバランス。
 他の者がパメラノに頭を下げるのは当然。
 敬意・好意により生じる当たり前の差異
 ルールという、ある種数学的な枠の外に、だからこそ産まれる当然の例外。
 大組織という人間関係の連鎖。
 ゆえのモノグラフィー。


「……失礼。つい、気をぬくと、幼少期のクセが出て……」


 生まれた瞬間から、その異常な『超天才性』をガンガンに発揮していたジャミは、すぐゼノリカに抱えられ、バブっていた頃から、徹底した英才教育を受けた。
 その際、パメラノは、ジャミの師を買ってでて、己が持つ全てをジャミに叩き込んだ。
 ジャミにとって、パメラノは、その人生で、親よりも遥かに長く一緒にいた、この世で最も信頼している恩師。




 ジャミは、パメラノから多くを学んだ。
 魔法や剣はもちろん、
 帝王学・哲学・倫理学、
 そして、命や愛についても、全てを教わった。




 ゆえに、立場がどうなろうと、頭が上がる事はない。
 ただ、立場上果たさねばならぬ義務はあるので、




「ごほんっ、パメラノ」


「何かの?」


「あなたは……神帝陛下と共に闘った事があると常々言っていたな。正直、これまでは真剣に聞いていなかったので……いい機会だし、その頃の話を、ちゃんと具体的に聞きたいのだが」




「ひゃひゃひゃ……ようやっと、まともに聞く気になったか」







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