センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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29話 下っ端の下っ端……



 29話 下っ端の下っ端……


 エグゾギアが使えたから、ホルスド・シャドーを瞬殺することができたが、
 エグゾギアがなければ、あの時、間違いなく殺されていた。


 今、ゼンの目の前にいる、このトカゲは、そんなホルスドが何十人いても、絶対に勝てない、ぶっちぎった強さを持つ超々々高位モンスター。


(そんなとんでもない怪物が、下っ端の下っ端なんて――ありえないだろう……)


 などと、考えていると、
 アビスが、




「疑っている目だな。いいだろう。ここらでひとつ、自己紹介をしてやる」




 コホンと息をつき、


「超魔王軍ゼノリカの頂点である『ゾメガ・オルゴレアム剛魔至天帝陛下』直属の従者である五聖命王が一人『銃崎心理様』直属の配下である九華十傑が一人『パメラノ・コット・N・ロッド』様の直属の実行部隊隊長である『九華十傑の第十席、序列三位、エキドナール・ドナ』様が率いる召喚獣部隊『八輪』が一人、それが、この私、エメラルドスカイアビス・リザードマン(強)だ」




 アビスの自己紹介を聞き終えたゼンは、ポカンとした顔で、


「……て……手下の、手下の、手下の、手下の部隊の一人って……それが本当だとしたら、お前、ほんとに、ド下っ端じゃねぇか……どんだけデカイ組織なんだよ、ゼノリカって……」


 ※ ドナが率いる『八輪』という部隊は実在するが、そこにアビスが所属しているというのは『舞い散る閃光』の嘘。
 ちなみに、九華の第十席・序列三位『エキドナール・ドナ』は、ゼノリカの暗部『百済』から上がってきた暗殺者で、元ウルトラバイオレット001。
 現UV1の超先輩で、遥か太古から、ゼノリカの闇を狩ってきた魔人。
 ゼノリカ内で『恐れられている』という点ではナンバーワンの執行人。
 『違う意味で恐れられている』という点でのナンバーワンは、
 もちろん、ブッチ切りで五聖命王の酒神終理。




「さて、正式に『世界の裏』を知ってしまった以上、君に残された道は二つしかない。『ここで私に殺される』か、『ここまで共に闘ってきたお仲間を、その手で殺し、純粋無垢な悪の一つとなり、ゼノリカの一員となる』か。ま、つまり、実質一択。悩む必要などない、ただの――」


「は、ははっ」


 アビスの話を最後まで聞かず、ゼンは、心底おかしそうに笑ってから、


「……純粋無垢な悪なんて、俺には荷が重いから、遠慮しておくよ。それに、神様を敵に回したくは無いしな……」


「ゼノリカこそ神。ゼノリカに仇なす事こそ、神への冒涜」
「お前がそう思うんならそうなんだろう。お前ん中ではな」


 ゼンの煽りをスルーして、
 アビスは言う。


「いいかね、『栄えあるゼノリカの一員になれる』となれば『なんでもする』というのが高次世界での常識なのだ。ゼノリカは、全世界で最も強大な力を持つ最強の組織。ゼノリカに属するというのは栄誉以外の何物でもない。それを踏まえた上で答えたまえ。温情で、最後に、もう一度だけ聞いてやる。選べ。偉大な支配者サイドの一人となるか、意味なくここで死ぬか」


「非常に魅力的なスカウト……いたみいるねぇ……が、しかし、残念ながら、俺は常に孤高。ボッチこそ我が誇り。群れる気はない」


 ゼンは、ニっと笑い、


「それに、中学二年生は去年卒業しているんでね。今の俺に、『黒き後光』を名乗る勇気はない」


 そう言い切った。


 いまだボロボロのままだが、しかし、どうにか、
 『なんとか闘える』くらいまで回復した。


 ――だから、ゼンは、静かに剣を構える。


 全ての緩みを殺し、キっと、表情を締める。
 軽口を収めて、真摯に言う。


「ゼノリカが大きいってことはよく分かった。お前ほどのバケモノが『ド下っ端』ってのは、ほんとすげぇ……『ハルスが最強』っていう『表の世界』がいかに小さいのか、あらためて、よぉく理解できたよ」









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