センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
56話 タイムアップ。
56話 タイムアップ。
タイムアップを知らせる笛の音を聞きながら、モンジンは言う。
「あーあ、五人以下に減らせなかったなぁ、んーだよ、もう……予選すら通らないとか、俺、どんだけぇ」
その声は、さきほどまでの、天高くから注がれているような尊き声ではなく、
非常にモンジンらしい抜けた声だった。
「しゃーない、帰るかぁ」
呑気な口調でそう言いながら、
「じゃあな、281番と282番」
バロールとジャミに背を向けるモンジン。
そんな彼に、ジャミは、たまらず、
「ま、まってください!!」
不敬だと分かっていたが、声をかけずにはいられなかった。
その、あまりにも深い『無上の尊さ』に触れた結果、心が麻痺していたんだ。
「……んあ?」
と、呑気なままの返事をするモンジンに、ジャミは問いかける。
「あ、あなたは……あなた様は……もしや……」
「もしやってなんだよ。俺は最初に自己紹介したろ? まさか、聞いてなかったのか? 失礼なやっちゃなぁ。じゃあ、もう一度だけ言ってやるから、ちゃんと聞けよ」
そう言ってから、モンジンは、ニっと笑って、天を指しながら、
「俺は、存在値1京を目指す者だ」
「「っっっ!」」
ジャミとバロールが同時に目を見開いた。
前提を整えた上で聞くと、なんと……なんと――
ジャミは、震えながら、
「遥か遥か遠き、高みの最果てを目指す御方……どうして、あなた様ほどの御方が……なぜ、私などのために……こ、ここまで――」
「それも言ったはずだ」
「……ぇ」
「家族だから」
「「!!!」」
驚嘆のあまり、声もでない二人。
モンジンは、二人を驚嘆させた言葉を最後に、
まるで世界に溶けるかのように、スゥっと消えていった。
気付いた時には、あの女たちもいなくなっていた。
まるで、すべてが、うたかたの夢だったかのよう。
残されたジャミは、しばらく呆けていたが、
バロールの、
「2500日……か」
そんな声が耳に届いたことで、意識を現実に戻す。
なんの話をしているのか、すぐに理解できた。
10秒ルームの記録……
「あの時は、盛り過ぎの誇大広告だとしか思わなかったが……今は、『その程度のブッチギリ』は『当たり前だろう』と思ってしまう……」
ボソボソとそんな事をつぶやいているバロールに、ジャミは言う。
「バロール。君は、あの御方の動きが少しでも見えたか?」
「見えてたまるか。俺は……神の王じゃない」
二人して、たそがれていると、
そこに、ミシャから連絡が入った。
二人は、まず、最初に、
((もうしわけありません、ミシャンド/ラ様))
予選で落ちてしまった事を謝罪した。
目の前にいる訳でもないのに、深く頭を下げる二人。
すると、
(なにが? まさか、負けた事を謝罪しているワケじゃないでしょうね。だとしたら、よほどのバカだと判断するけれど?)
(い、いえ、そのような)
(私達は、ただ、ミッション失敗について――)
(同じことでしょう。この上なく尊き御方に勝てなければ予選を突破する事はできなかった。これは、そういう無理問答だった。ならば、それは、この世の誰にも出来ないただの不可能。頭を下げるようなことではない。ゼノリカは合理の結晶。不条理な叱責などあるはずもなし)
ミシャの言葉が、二人の中に、スゥと溶けていく。
ゆえに、
((はっ……下らない謝罪をしてしまった事を謝罪いたします。どうか、忘れていただきたく))
(それでいい。それでは、一秒でもはやく、ゼノリカに戻り、訓練の続きに入りなさい。そして、今日学んだことを、他の者にも伝えなさい。あなたたちが今、もったいなくも賜わった『深き教え』は、あなたたちだけで独占してよいものではない)
((御意))
タイムアップを知らせる笛の音を聞きながら、モンジンは言う。
「あーあ、五人以下に減らせなかったなぁ、んーだよ、もう……予選すら通らないとか、俺、どんだけぇ」
その声は、さきほどまでの、天高くから注がれているような尊き声ではなく、
非常にモンジンらしい抜けた声だった。
「しゃーない、帰るかぁ」
呑気な口調でそう言いながら、
「じゃあな、281番と282番」
バロールとジャミに背を向けるモンジン。
そんな彼に、ジャミは、たまらず、
「ま、まってください!!」
不敬だと分かっていたが、声をかけずにはいられなかった。
その、あまりにも深い『無上の尊さ』に触れた結果、心が麻痺していたんだ。
「……んあ?」
と、呑気なままの返事をするモンジンに、ジャミは問いかける。
「あ、あなたは……あなた様は……もしや……」
「もしやってなんだよ。俺は最初に自己紹介したろ? まさか、聞いてなかったのか? 失礼なやっちゃなぁ。じゃあ、もう一度だけ言ってやるから、ちゃんと聞けよ」
そう言ってから、モンジンは、ニっと笑って、天を指しながら、
「俺は、存在値1京を目指す者だ」
「「っっっ!」」
ジャミとバロールが同時に目を見開いた。
前提を整えた上で聞くと、なんと……なんと――
ジャミは、震えながら、
「遥か遥か遠き、高みの最果てを目指す御方……どうして、あなた様ほどの御方が……なぜ、私などのために……こ、ここまで――」
「それも言ったはずだ」
「……ぇ」
「家族だから」
「「!!!」」
驚嘆のあまり、声もでない二人。
モンジンは、二人を驚嘆させた言葉を最後に、
まるで世界に溶けるかのように、スゥっと消えていった。
気付いた時には、あの女たちもいなくなっていた。
まるで、すべてが、うたかたの夢だったかのよう。
残されたジャミは、しばらく呆けていたが、
バロールの、
「2500日……か」
そんな声が耳に届いたことで、意識を現実に戻す。
なんの話をしているのか、すぐに理解できた。
10秒ルームの記録……
「あの時は、盛り過ぎの誇大広告だとしか思わなかったが……今は、『その程度のブッチギリ』は『当たり前だろう』と思ってしまう……」
ボソボソとそんな事をつぶやいているバロールに、ジャミは言う。
「バロール。君は、あの御方の動きが少しでも見えたか?」
「見えてたまるか。俺は……神の王じゃない」
二人して、たそがれていると、
そこに、ミシャから連絡が入った。
二人は、まず、最初に、
((もうしわけありません、ミシャンド/ラ様))
予選で落ちてしまった事を謝罪した。
目の前にいる訳でもないのに、深く頭を下げる二人。
すると、
(なにが? まさか、負けた事を謝罪しているワケじゃないでしょうね。だとしたら、よほどのバカだと判断するけれど?)
(い、いえ、そのような)
(私達は、ただ、ミッション失敗について――)
(同じことでしょう。この上なく尊き御方に勝てなければ予選を突破する事はできなかった。これは、そういう無理問答だった。ならば、それは、この世の誰にも出来ないただの不可能。頭を下げるようなことではない。ゼノリカは合理の結晶。不条理な叱責などあるはずもなし)
ミシャの言葉が、二人の中に、スゥと溶けていく。
ゆえに、
((はっ……下らない謝罪をしてしまった事を謝罪いたします。どうか、忘れていただきたく))
(それでいい。それでは、一秒でもはやく、ゼノリカに戻り、訓練の続きに入りなさい。そして、今日学んだことを、他の者にも伝えなさい。あなたたちが今、もったいなくも賜わった『深き教え』は、あなたたちだけで独占してよいものではない)
((御意))
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